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最高裁判所第二小法廷 昭和60年(オ)934号 判決

当事者及び代理人 別紙当時者目録記載のとおり

右当事者間の仙台高等裁判所秋田支部昭和56年(ネ)第65号損害賠償請求事件について、同裁判所が昭和60年3月26日言い渡した判決に対し、上告人らから一部破棄を求める旨の上告の申立があり、被上告人は上告棄却の判決を求めた。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人上田誠吉、同宮本康昭、同脇山淑子、同佐々木恭三、同西村昭、同田岡浩之、同藤本斎、同平岩敬一、同関一郎、同金野和子、同山内満、上告補佐人Aの上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係のもとにおいて、所論の本件生産調整と上告人ら主張の損害との間の因果関係を肯定することはできないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、民訴法396条、384条1項、95条、89条、93条に従い、裁判官香川保一の意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官香川保一の意見は、次のとおりである。

私は、結論において多数意見と同じであるが、その理由については、次のとおり異にする。

独占禁止法25条は、同法にいう私的独占若しくは不当な取引制限又は不公正な取引方法を用いた事業者(以下これらの方法を用いた事業者の行為を「違反行為」という。)は、被害者に対し、いわゆる無過失損害賠償責任を負うものとしているが、これは、従来民法709条によっては不法行為とされない違反行為について、特殊な不法行為として損害賠償の責に任ずるものとする特別規定を創設したものとみるべきである。しかるに、上告人らの本訴請求は、同条に基づく請求であって、独占禁止法25条に基づく請求ではないから、実体法上理由がないものとして棄却すべきであると解する。その理由は、最高裁昭和60年(オ)第933号、第1162号平成元年12月8日第二小法廷判決において述べたとおりであるから、これをここに引用する。

(裁判長裁判官 島谷六郎 裁判官 牧圭次 裁判官 藤島昭 裁判官 香川保一 裁判官 奥野久之)

別紙 省略

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